馬の祭りは静かな雰囲気から一変するぜ
駅前から伸びる大通りを歩くと、舗装路に敷かれた白い砂が足裏に柔らかく伝わってくる。見慣れない光景に誘われて到着した、長野県の馬の祭り会場だ。
高く組まれた観覧席には革張り手すりが用意され、木製ベンチの固さがかえって心地良さを際立たせる。
それに比べ、先日訪れた南国行事では、ビニールシートが地面に直置きされ、腰掛けるたびに背中がひんやり。
観客が密集し、声援がひとつの波となり場を包み込んでいたが、長野県の馬の祭りはむしろ静けさと緊張が漂い、いっそう鮮明に足音と息づかいを感じられる。
走路を清掃する所作もまた異なる。籠手をはめたスタッフが竹箒を巧みに操り、一粒まで払い除けるよう丁寧に掃く。駆け抜ける一瞬は、まるで大地が息を吐いたようね。
蹄が砂利を砕く衝撃が直線的に届き、観衆は声を押し殺しながらも、全身で拍手を打つ。音響設備に頼った華やかさでは決して得られない一体感、リアルな迫力を教えてくれる。
帰りながら長野県の馬の祭りを振り返り、次回訪問を心に刻み、静かな余韻を楽しんだ。